登山ガイドステージⅡ 積雪期ルートガイドの内容

登山ガイドステージⅡ(以下、登山Ⅱ)受験の実技検定の免除講習

積雪期ルートガイド講習を受験してきました

筆者は免除講習を受けましたが

直接ガイド協会の検定に臨む方の参考にもなるかと思います

 

こんにちは、山男ブロガーのみずきです

ガイド目指して修行中です

11月の学科に合格し、実技検定を受けています

1番最初に受けたのがこの、

積雪期ルートガイド

です

本来なら無雪期ルートガイドから入るべきなのでしょうが

日程などいろいろあって、積雪期から入りました ⛄️

ベテラン現役ガイドの講師に色々教わったので

それを忘れない為にも筆を走らせるわけです

長くなるので、当記事では検定内容と簡単なコツなどをまとめます

ショートロープやフィックス、細かな技術は別記事で解説します

 

登山Ⅱの実技検定一覧

登山Ⅱの資格を取るには

筆記試験と5つの実技検定(講習)を修了する必要があります

具体的には

  • 無雪期ルートガイド検定
  • 安全管理検定
  • 積雪期ルートガイド検定
  • 積雪期安全管理検定
  • 緊急時対応技術講習

の5つです

登山Ⅱに求められる技術は、それほど高いものではありません

基礎的なロープワーク、山技術を修得していれば難しいものでは無いと思います

山の技術書を読んだり、講習に出るなどして練習していきましょう!

僕は以下の本で結びやシステム、山技術を学習しています

ヤマケイ登山学校シリーズ


独学だけでは危険なこともあるので

講習会やガイドに習うのも忘れずにしてください

山岳会などに入るのもおすすめです

僕も山岳会に所属しています⛰️

積雪期ルートガイド検定の概要

雪のある時期に顧客を安全にガイドできるか

という内容でした

行動技術とガイド技術の評価項目があり

僕の受けた免除講習では、行動しながら評価を受けていきました

 

行動技術

  • 適切な服装・装備
  • 雪上歩行技術
  • 状況に応じたライン取り

 

ガイド技術

  • ガイドに適した装備か
  • 出発前の確認
  • 歩く速度、ライン、休憩、天候や危険箇所に配慮したガイド
  • ルートファインディング技術
  • 自然解説能力

 

などを評価されます

自分自身はどんな場所でも確実に歩行できることが大前提です

その上で、顧客のためのステップを作ったり

危険箇所の通過を支援したり

安全に雪山を楽しんでもらう為の技術が必要になります

山岳ガイドと違い、険しい道を案内するわけではありませんが

ガイド自身が安定した山の技術を保持していることは重要です

雪上歩行技術

今回僕が受けた講習では積雪期特有の歩行技術を確認されました

具体的には下記項目です

  • ツボ足歩行
  • アイゼン+ピッケル技術
  • スノーシュー

トレースあり、なしの両方が項目にありました

 

ツボ足歩行

歩行具無しで雪上を歩きます

ある程度の斜面や、ラッセルなどを行いました

普段から雪山に登る人はあまり問題ないかと思います

顧客を案内する際の、ステップカットの技術も確認されました

斜度に応じて、歩きやすいステップを作れるようにしましょう

 

アイゼン+ピッケル技術

雪山必須の技術です

登山Ⅱの職域だと、本格的にこれらを用いることは少ないと思いますが

冬季ガイディングには必須の技術です

ご自身で雪山を歩いている方は問題ないことが多いでしょう

本格的な雪山経験が少ない人は練習しておきましょう

アイゼン、ピッケルを使い斜面を歩きます

斜度や状況に応じたアイゼン、ピッケルワークを出来ると良いです

フロントポインティング、ダイアゴナル、ダッグウォーク、3・9オクロック

ダガーポジション、ピオレマンシュ、ピオレカンヌ etc…

名前はまあいいのですが、場面に合わせた適切な技術を使えると良いです

ピッケルはリーシュなしが望ましいです

確保をしたり持ち替えたり、と

何かと忙しいガイド行動では、リーシュが邪魔になります

リーシュ無しでもピッケルを落とさない注意深さが必要です

 

今回僕が油断していたのは、足捌きです

慣れと体力に任せた歩きをしてきたせいで

前爪をよく使っていたのですが

それだとお客さんは登れない

とのアドバイスをもらい、ハッとしました

ガイドにとっては何てことない斜面でも

お客さんを連れている場合は配慮が必要です

お客さんになるべく前爪を使わせないライン取りをするのが大切です

 

スノーシュー歩行

スノーシュー+ストックの歩行技術も大切です

普段より足幅が広がるスノーシュー特有の歩行に慣れておくことも重要です

登山Ⅱの職域だと、簡単なスノーシューツアーなどを行うことができます

習熟しておいて間違いはありません

実際、積雪期検定では必須装備になっております

スノーシューを持っていない方は調達が必要です

ストックは雪輪を付けます

 

スノーシューで気をつけるべきはフラットフッティングです

全体の爪を雪面に付けることで、トランクションを効かせて登ることができます

リフターを多用すると逆にスリップしやすくなるので見極めが大切です

リフターを使わなくても歩けるライン取りをする配慮も大切です!!

 

下りの技術も重要です

スノーシューは下りが苦手なので、そこら辺をどう顧客に伝えるかを考えると良いです

斜めに歩けるラインが良いですね

 

また、顧客のスノーシュー装着を見てあげる能力も必要です

バンドタイプ、BOAタイプなどなど

様々なスノーシューを見て、知見を広げておくと良いかと思います

 

状況に応じたライン取り

積雪期ですので、どこでも歩けます

その中でも、安全で歩きやすいルートを通行する技術です

具体的には

  • 沢、雪崩地形を避ける
  • 尾根を行く
  • 急登は斜めに登る

といったような雪山の基礎を実施していくと良いです

オープン斜面などは、少しでも尾根に上がる等すると良いですね

ガイド技術

 

ガイドに適した装備か

行動地域に適した装備、服装をしていることが大切です

事前に行動地域の天候や積雪、気温を調べ装備を決めます

ガイドとして信頼できる着こなしを心がけます

また、顧客に余計な装備を持たせることのないように

何を持つ、何を置いていく

を示してあげるのが重要です!

 

出発前の確認

出発前は

  • 顧客の体調
  • 服装・装備の確認
  • ビーコンチェック
  • ルート、日程の説明

を行います

また、最初に挨拶をすること

準備運動をすることも忘れずに行います

前日の睡眠状況なども聞くと良いかもしれません

雪山に不慣れな方は着込みすぎている可能性もあります

シェルの下にダウン等を着ているようでしたら

出発直前に脱いでもらう

などの指示もしておきましょう

日焼け止めを塗ったか、サングラスはあるか

など、具体的な確認をすると安心ですね

不慣れなアイゼン、スノーシュー等の装着も手助けしてあげます

 

速度、ライン、休憩、天候や危険箇所に配慮したガイド

  • 顧客にとって負担のない速度か
  • 雪崩、滑落の危険が少ないラインどりをしているか
  • 休憩の間隔・場所は適切か
  • 天候に応じた服・装備の指示をしているか
  • 危険箇所通過時の要領

速度は思っている以上にゆっくりが良いです

ガイドを目指すような人は山の上級者が多いはず

普通に歩いたら初心者はキツいです

顧客のためのステップを作りながら歩くくらいがちょうど良いです

 

ライン取りはいつもやっている基本を実践してください

また、斜面はより安全で楽な場所を選びます

なるべく前爪を使わせない配慮が大切です

 

休憩時のタイミングも早めにすると良いです

30分くらいで取るのが良いとアドバイスを貰いました

ガイドがザックを下す、食事をとる、などすればお客さんも休みやすいようです

平坦で風雪を防げる安全な場所で休みます

 

危険箇所通過時は、どこで待機させるのか、どのくらい間隔を空けるのか

を考えて行動します

雪崩の危険なのか、滑落の危険なのか

でも対処が変わります

 

ルートファインディング技術

検定では、事前に示されたエリアのガイドを行います

今回僕は免除講習でしたので、日毎に違うエリアをガイドしました

プレートコンパスと高度計(腕時計可)、国土地理院1/25000の地図が必要です

事前に購入、磁北線を引いて持参しましょう

GPSは使えません!

 

コンパスと地図、高度計を駆使して道を案内します

行ったことあるエリアなら良いのですが、そうとも限りません

事前に地形図を読み込んでおき、ポイントを探しておきましょう

また、同じルートを辿っている記録があれば良いヒントになります

写真などがアップされていたら活用しましょう!

 

実際、地図とコンパスで歩いたことがある人は少ないかもしれません

いきなり地図+コンパスのみで山を歩くのは不安があるかと思います

ですので、普段の山行では地図をメインに歩き、要所要所でGPSを使って答え合わせをする

ということをしていけば精度が向上するかと思います

 

積雪期はいろいろと目印が埋まります

山頂の看板があるとも限りません(僕の行ったルートはありませんでした・・)

ですので、あまり細かなものを気にして歩く必要はないかと思います

大きな尾根や沢、起伏の変化などの地形を読みとって行動すると良いです

出発前に高度計を合わせておきます

顧客を不安にさせない、堂々としたガイドをしましょう!

 

検定項目には無い注意点

事前に示された持ち物

事前に資料が送られてくると思います

そこに書かれている持ち物は過不足なく持ちこみましょう

特に注意を要するのが

ツェルト

です

1〜2人用の物は持っているかと思いますが

ガイドは複数人入れるツェルトを所持することが望ましいです

僕の知る限りだと

モンベル

アライテント

の2社から複数人対応のものが出ております

需要が少ないからか、選択肢が限られます

モンベルのものはアライより一回り小さく、値段が高いです

アライのものはモンベルより手頃で大きく重いです

僕のオススメはアライですね

モンベルのものは一回り小さく、

ガイドは実質アライ一択のような感じです

必要なものが揃っていないと減点対象になるので注意です!

家を出る前に確実に確認をしていきましょう!

・・・僕は150cmスリングを忘れました

 

アライ ピンチシート

アライ スーパーライト・ツェルト2ロング

まとめ

積雪期ルートガイド検定(講習)では以下の項目が見られます

 

行動技術

  • 適切な服装・装備
  • ツボ足歩行
  • スノーシュー歩行
  • アイゼン・ピッケル歩行
  • 状況に応じたライン取り

 

ガイド技術

  • ガイドに適した装備か(示された持ち物があるか)
  • 出発前の顧客装備、フィールド状況確認、ビーコンチェック
  • 歩く速度、ライン、休憩、天候や危険箇所に配慮したガイド
  • 積雪期の適切なルート設定、地図・コンパス・高度計の使用(ルーファイ)
  • 自然解説能力(山座同定、植生、地域の知識、歩行場所など環境への配慮)

 

なかなか、一朝一夕で身に付かない技術も多いです

特に、ガイド技術などは普通に山をやっていても身につきません

各種講習に参加するなど

プロから教わるのが一番の近道になると思います

正しい知識・技能のあるガイドを目指して頑張りましょう✨

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